知らないと炎上?失敗事例に学ぶSNS運用ルールと今すぐ使える社内規定テンプレート

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知らないと炎上?失敗事例に学ぶSNS運用ルールと今すぐ使える社内規定テンプレート

企業のSNS運用におけるルール作り、何から手をつければ良いか分からず後回しにしていませんか?たった一つの不適切な投稿が、企業の信頼を大きく損なう「炎上」につながるリスクは年々高まっています。SNS運用の成否は、企業の信頼を守り、一貫性のある発信を行うための明確なルール作りに懸かっていると言っても過言ではありません。本記事では、実際の失敗事例からSNSに潜むリスクを学び、企業が必ず押さえるべき10の基本ルールを具体的に解説します。さらに、すぐに使える社内規定テンプレートもご用意。この記事を読めば、炎上リスクを回避し、安全かつ効果的なSNS運用を実現するための具体的な手順がすべてわかります。

目次

なぜ今SNS運用のルール作りが重要なのか

現代のビジネスにおいて、SNSは顧客との重要な接点であり、強力なマーケティングツールです。多くの企業がFacebookやX(旧Twitter)、Instagram、LINEなどを活用し、ブランド認知度の向上や顧客エンゲージメントの深化、そして売上拡大に繋げています。しかし、その手軽さと拡散力の高さは、企業にとって「諸刃の剣」となり得る大きなリスクを内包しています。

たった一つの不適切な投稿が瞬く間に拡散され、企業の信頼を根底から揺るがす「炎上」に発展するケースは後を絶ちません。このようなデジタルリスクから企業を守り、SNSを安全かつ効果的に活用するために、明確な「運用ルール」の策定が不可欠となっているのです。本章では、なぜ今、SNS運用 ルール作りが重要視されているのか、その背景にあるリスクと、ルールがないことで生じる具体的な問題について詳しく解説します。

企業の信頼を左右するSNSのリスク

SNSは、企業の「顔」として顧客や社会と直接コミュニケーションをとる場です。そのため、公式アカウントでの発信はもちろん、従業員個人の発信でさえも、企業のパブリックイメージに直結します。SNS運用に潜むリスクを正しく理解しないままでは、意図せずして企業の信頼を大きく損なう事態を招きかねません。

SNSがもたらす主なリスクは、大きく分けて「炎上によるブランドイメージの毀損」「法的・コンプライアンス違反」「情報漏洩」の3つが挙げられます。特に、一度「炎上」が発生すると、ネガティブな情報がインターネット上に半永久的に残り続け、企業の評判を長期にわたって傷つけます。その結果、顧客離れや売上の低下、採用活動への悪影響、株価の下落など、事業の根幹を揺るがす深刻なダメージに繋がる可能性があります。企業の社会的信頼は、一朝一夕に築けるものではありません。その大切な資産をSNSのリスクから守るための第一歩が、ルール作りなのです。

SNS運用ルールがないことで起こる問題

「担当者に任せているから大丈夫」「うちは炎上するような発信はしない」といった油断が、最も危険です。明確な運用ルールがない状態は、いわば羅針盤も海図も持たずに、いつ嵐が来るかわからない大海原へ航海に出るようなものです。具体的に、ルールがないことで以下のような問題が発生するリスクが高まります。

問題の種類 具体的な内容とリスク
投稿品質のばらつきと属人化 担当者のスキルやその日の気分によって、投稿の口調(トーン&マナー)や品質が安定しない。結果として、企業としての一貫したブランドイメージを構築できず、ユーザーに不信感を与えてしまう。
炎上リスクの増大 個人の判断で時事問題や他社製品について言及したり、差別的・攻撃的と受け取られかねない表現を使ったりするなど、不用意な発信で炎上を招く。何が「してはいけないこと」なのか基準がないため、リスク判断ができない。
危機管理対応の遅れ 不適切な投稿やユーザーからの批判的なコメントが発見された際、誰に報告し、誰が判断し、どのように対応するかの手順が決まっていない。初動の対応が遅れることで、事態がさらに悪化し、被害が拡大する。
法的・倫理的問題の発生 著作権や肖像権を侵害した画像・動画の無断使用、景品表示法や薬機法に抵触するような不適切な広告表現、顧客や取引先の機密情報・個人情報の漏洩など、無自覚のうちにコンプライアンス違反を犯してしまう。
従業員の個人利用によるトラブル 従業員が個人アカウントで会社の内部情報を漏らしたり、会社の看板を背負っている自覚なく不適切な言動を行ったりすることで、結果的に企業の評判を落とす。公私の区別に関するガイドラインがない場合に起こりやすい。

これらの問題は、どれか一つでも発生すれば企業に深刻な影響を及ぼします。SNSを安全に運用し、そのメリットを最大限に享受するためには、これらの潜在的な問題を未然に防ぐための「守りの仕組み」としてのルール策定が、今や企業にとって必須の経営課題と言えるでしょう。

【失敗事例】SNS運用のルール違反が招いた炎上トラブル

SNS運用の失敗事例:3つの炎上パターン ルール違反や認識の甘さが招く、企業の信用に関わる重大なトラブル 不適切な投稿 📢 主な原因 ・知識不足 / チェック不備 ・時代の価値観とのズレ 具体的な事例 ❌ 差別・ジェンダー配慮不足 ❌ 不謹慎・モラル欠如 ❌ 誤情報・根拠のない拡散 従業員の個人利用 📱 主な原因 ・当事者意識の欠如 ・リテラシー教育不足 具体的な事例 ❌ バイトテロ(不衛生行為) ❌ 機密情報の漏洩 ❌ デジタルタトゥー化 顧客対応の失敗 💬 主な原因 ・公開の場という認識不足 ・マニュアル/体制の不備 具体的な事例 ❌ 感情的な反論・喧嘩 ❌ 不誠実な謝罪・隠蔽 ❌ 火に油を注ぐ対応 結果:ブランド毀損・売上減少・法的措置など、企業存続に関わるダメージ

SNS運用のルール作りを怠ると、どのような事態に発展するのでしょうか。ここでは、実際に起きた企業の炎上トラブルを「不適切な投稿」「従業員の個人的な利用」「顧客対応の失敗」の3つのパターンに分けて解説します。これらの失敗事例は、決して他人事ではありません。自社の運用に潜むリスクを洗い出すための教訓として、ぜひ参考にしてください。

不適切な投稿による炎上事例

企業が公式アカウントから発信する情報が、意図せずユーザーを傷つけたり、誤解を招いたりすることで炎上に至るケースは後を絶ちません。担当者の知識不足やチェック体制の不備が主な原因です。

事例のタイプ 炎上の原因となった投稿内容 学ぶべき教訓
差別・ジェンダーに関する配慮不足 ある飲料メーカーが公開したWeb動画広告の内容が、特定の性別役割を固定化するものだと批判が殺到。企業は動画を削除し謝罪に追い込まれました。担当者は差別的な意図はなかったものの、世の中の価値観の変化に対する感度が低かったことが原因です。 多様性への配慮は現代の企業活動に不可欠です。投稿前に、特定の属性(性別、国籍、宗教、性的指向など)を不快にさせる表現がないか、複数人で多角的にチェックする体制が求められます。
不謹慎・モラルに欠ける投稿 あるアパレルブランドが、社会的に大きな事件や災害が発生している最中に、空気を読まないキャンペーン告知を投稿。ユーザーから「不謹慎だ」との指摘が相次ぎ、ブランドイメージを大きく損ないました。 社会情勢を考慮せずに通常通りの投稿を続けることは大きなリスクを伴います。有事の際には投稿を一時停止したり、内容を慎重に検討したりするといった運用ルールを事前に定めておくことが重要です。
誤情報・不正確な情報の拡散ある健康食品を扱う企業が、科学的根拠の乏しい情報をあたかも事実であるかのように発信。「〇〇を食べれば病気が治る」といった表現が薬機法に抵触する可能性があると指摘され、炎上しました。 特に健康や法律に関する情報を発信する際は、専門家による監修やファクトチェックが不可欠です。担当者個人の知識や解釈だけで投稿するのではなく、正確性を担保するフローを構築する必要があります。

従業員の個人的な利用による炎上事例

企業の炎上は、公式アカウントからだけ起こるわけではありません。従業員が個人で利用しているSNSアカウントからの投稿が、会社の信用を失墜させるケースも頻発しています。これは「デジタル・タトゥー」として残り続け、企業に長期的なダメージを与えます。

代表的なのが、いわゆる「バイトテロ」です。過去に、ある飲食店のアルバイト従業員が、厨房内で不衛生な行為をしている様子を撮影し、SNSに投稿しました。この動画は瞬く間に拡散され、「あのチェーン店は衛生管理がずさんだ」というイメージが定着。結果として、全店舗の売上減少やブランド価値の毀損といった深刻な事態を招き、企業は閉店や法的措置に踏み切らざるを得なくなりました。

また、従業員が「有名人の〇〇さんが来店した」と個人アカウントで投稿したり、会社の飲み会での様子や未公開の内部情報を安易に漏らしてしまったりする情報漏洩のリスクもあります。本人に悪気はなくても、これらの行為は企業の機密情報や顧客のプライバシーを侵害する重大なコンプライアンス違反です。

これらの事例からわかるのは、従業員一人ひとりが企業の「顔」であるという意識の欠如が炎上の引き金になるという事実です。公式アカウントの運用ルールだけでなく、全従業員を対象としたSNS利用に関するガイドラインを策定し、定期的な研修を通じてリテラシー教育を徹底することが、リスク回避の鍵となります。

顧客対応の失敗による炎上事例

SNSは、顧客からの意見やクレームが直接届く窓口でもあります。ここでの対応を一つ間違えると、小さな火種が大きな炎上へと発展しかねません。

例えば、ある小売店の公式アカウントが、商品に関する顧客からの指摘に対して、高圧的かつ感情的な言葉で反論してしまった事例があります。このやり取りのスクリーンショットが拡散され、「顧客を馬鹿にしている」「誠意がない」といった批判が殺到。SNSが公開された顧客対応の場であるという認識の甘さが、さらなる炎上を招きました。

また、炎上が発生した後の謝罪対応も重要です。問題が起きた際、形式的な謝罪文を掲載するだけで具体的な原因究明や再発防止策を示さなかったり、批判的なコメントを説明なく削除したりしたことで、「隠蔽体質だ」と火に油を注ぐ結果になった企業もあります。

SNS上でのコミュニケーションは、良くも悪くもすべてが記録され、拡散される可能性があります。そのため、コメントやDMへの対応方針、トーン&マナー、担当者では判断できない場合の報告ルート(エスカレーションフロー)を事前に明確に定めておくことが極めて重要です。誠実で一貫性のある対応こそが、顧客との信頼関係を築き、炎上を未然に防ぐ最善の策と言えるでしょう。

必ず押さえるべきSNS運用ルールの基本10項目

SNS運用ルール 基本10項目チェックリスト 1 運用目的とKPIを明確にする 2 投稿レギュレーションを定める 3 著作権・肖像権などの権利保護 4 薬機法・景表法などの法令遵守 5 個人情報・機密情報の管理徹底 6 投稿前の承認フローを構築する 7 コメント・DMへの対応方針 8 炎上時のエスカレーションフロー 9 従業員個人の利用ガイドライン 10 定期的な研修とルールの見直し

企業のSNS運用を成功に導き、炎上などのリスクを回避するためには、明確なルール作りが不可欠です。ここでは、SNS運用ポリシーやガイドラインを策定する上で、必ず盛り込むべき10個の基本項目を具体的に解説します。これらのルールは、担当者の判断基準を統一し、組織全体で安全かつ効果的な運用を実現するための土台となります。

ルール1 運用目的とKPIを明確にする

SNS運用を始める前に、「何のためにSNSを運用するのか」という目的を明確に定義することが全ての出発点です。目的が曖昧なままでは、投稿内容に一貫性がなくなり、効果測定もできません。まずは、自社のビジネス課題と照らし合わせ、SNSで達成したいゴールを設定しましょう。

目的が決まったら、その達成度を測るための具体的な指標であるKPI(重要業績評価指標)を設定します。これにより、運用の成果を客観的に評価し、改善に繋げることができます。

主な運用目的 KPI設定例
ブランド認知度の向上 インプレッション数、リーチ数、フォロワー増加数、プロフィールアクセス数
商品・サービスの販売促進 ウェブサイトへのクリック数(CTR)、コンバージョン数、クーポン利用数
顧客エンゲージメントの強化 いいね数、コメント数、保存数、シェア数、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の発生数
顧客サポート・ロイヤリティ向上 コメントへの返信率・返信速度、ポジティブなコメントの割合
採用活動の強化 採用ページへの遷移数、応募数、会社説明会への参加申し込み数

ルール2 投稿内容のレギュレーションを定める

SNSアカウントの「人格」ともいえるトーン&マナーを統一し、ブランドイメージを損なわないために、投稿内容に関する詳細なレギュレーションを定めます。担当者が複数いる場合や、担当者が交代した場合でも、誰が投稿してもクオリティとブランドイメージが保たれる仕組みを作ることが重要です。

  • ペルソナ設定:「誰に」情報を届けたいのか、ターゲットとなる顧客像を具体的に設定します。年齢、性別、興味関心などを細かく定義することで、響くコンテンツ作りが可能になります。
  • トーン&マナー:敬語を使うのか、親しみやすい口調にするのか。絵文字や顔文字、記号(!、?)の使用基準など、文章の細かな表現スタイルを統一します。
  • コンテンツの種類:テキスト、画像、動画、インフォグラフィックなど、使用するコンテンツのフォーマットや品質基準を定めます。特に画像のサイズやアスペクト比は各SNSプラットフォームに最適化させましょう。
  • ハッシュタグのルール:必ず付けるブランドハッシュタグ、投稿内容に合わせて選定するハッシュタグの数や種類に関するルールを決めます。
  • 禁止表現・トピック:政治、宗教、人種、ジェンダーなどに関する差別的・攻撃的な内容、他社への誹謗中傷、未確認情報の拡散など、企業の信頼を損なう可能性のある表現やトピックを具体的にリストアップし、絶対に触れないように徹底します。

ルール3 著作権・肖像権など他者の権利を侵害しない

インターネット上にある画像や文章を安易に使用すると、著作権や肖像権といった他者の権利を侵害し、法的なトラブルに発展する可能性があります。権利侵害は企業のコンプライアンス意識が問われる重大な問題であり、絶対に避けなければなりません。

  • 著作権:他人が作成した文章、イラスト、写真、音楽、動画などを無断で転載・使用してはいけません。引用する場合は、引用の要件(出典の明記、引用部分の明確化など)を厳守します。フリー素材を利用する際も、必ず利用規約を確認し、商用利用や改変の可否などをチェックしましょう。
  • 肖像権・プライバシー権:イベントの様子などを撮影する際、お客様や一般の方が写り込んだ写真を本人の許可なく投稿してはいけません。従業員であっても、SNSに顔写真を掲載する場合は必ず事前に許諾を得ることが望ましいです。
  • 商標権:他社のロゴや商品名、サービス名を無断で使用することは商標権の侵害にあたる可能性があります。使用する際は細心の注意を払いましょう。

ルール4 薬機法や景品表示法などの法律を遵守する

特に健康食品や化粧品を扱う企業、キャンペーンを実施する企業は、関連する法律を正しく理解し、遵守する必要があります。法令違反は行政処分や課徴金の対象となるだけでなく、企業の社会的信用を大きく損ないます。

  • 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律):化粧品や健康食品、美容機器などの投稿で、「シミが消える」「必ず痩せる」といった効果効能を保証するような断定的な表現はできません。使用前後の写真(ビフォーアフター)を掲載する際も、加工や演出に厳しい制限があります。
  • 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法):
    • 優良誤認表示:「業界No.1」「最高品質」など、客観的な根拠がないにもかかわらず、実際の商品よりも著しく優れていると見せかける表示は禁止されています。
    • 有利誤認表示:「今だけ半額」と表示しながら実際には長期間同じ価格で販売するなど、取引条件について実際よりも著しく有利であると誤認させる表示は禁止です。
    • ステルスマーケティング(ステマ)規制:2023年10月より、広告であることを隠して商品やサービスを宣伝する行為は景品表示法違反となりました。インフルエンサーに依頼した場合など、事業者の広告・PR投稿には「#PR」「#広告」「#プロモーション」といった表記を分かりやすく表示することが義務付けられています。

ルール5 個人情報や機密情報の取り扱いを徹底する

SNS運用において、情報漏洩は最も警戒すべきリスクの一つです。顧客の個人情報や社内の機密情報が一度流出すれば、企業の信頼は失墜し、事業継続に深刻な影響を及ぼします。

  • 個人情報の保護:キャンペーン当選者の氏名や住所、DMで寄せられた相談内容など、顧客の個人情報を絶対に公開してはいけません。投稿する写真に、書類やPCモニター、名札などが写り込み、意図せず個人情報が漏れることのないよう、細心の注意を払います。
  • 機密情報の保護:未発表の新製品情報、業績に関する内部情報、社内の人事情報、取引先との契約内容など、社外秘とされる情報を投稿することは厳禁です。オフィスの背景に機密情報が写り込んでいないか、常に確認する癖をつけましょう。

ルール6 投稿前の承認フローを構築する

どれだけ注意していても、人間はミスを犯すものです。担当者一人の判断で投稿できる体制は、誤字脱字といった軽微なミスから、炎上に繋がりかねない不適切投稿まで、様々なヒューマンエラーのリスクを内包しています。複数人によるチェック体制を構築し、組織としてミスを防ぐ仕組み(承認フロー)を作ることが不可欠です。

承認フローは、企業の規模や体制に応じて柔軟に設計します。

【承認フローの例】

  1. 投稿案作成:SNS担当者が投稿の文面、画像、ハッシュタグなどを作成。
  2. 一次承認:所属部署の上長などが、誤字脱字、トーン&マナー、レギュレーション違反がないかを確認。
  3. 二次承認(必要な場合):法務・コンプライアンス部門や広報部門が、法的リスクやブランドイメージの観点から内容を精査。特にキャンペーン告知や新商品発表など、重要度の高い投稿では必須のプロセスです。
  4. 最終承認・投稿:全ての承認を経て、投稿担当者が予約投稿または即時投稿を実行。

承認プロセスは、共有のスプレッドシートやSlack、Microsoft Teamsなどのコミュニケーションツールを活用し、誰がいつ承認したのか履歴が残るように管理するのがおすすめです。

ルール7 コメントやDMへの対応方針を決める

ユーザーからのコメントやDMは、顧客との貴重な接点であり、エンゲージメントを高める絶好の機会です。しかし、その対応を誤ると、かえって顧客の不満を招き、炎上の引き金になることもあります。場当たり的な対応を防ぐため、明確な対応方針を定めておきましょう。

  • 対応の基本姿勢:常に丁寧で誠実な態度を心がける。ブランドのトーン&マナーを遵守する。
  • 返信の範囲:全てのコメントに返信するのか、質問や特定のコメントにのみ返信するのかを決めます。リソースが限られている場合は、「いただいたコメントは全て拝見しております。個別のご返信は差し控えさせていただく場合がございます」などとプロフィールに明記しておくのも一つの方法です。
  • 対応時間:「平日10:00〜17:00」など、コメントやDMに対応する時間帯をあらかじめ決めておくと、ユーザーの期待値をコントロールしやすくなります。
  • ネガティブなご意見への対応:感情的に反論したり、無視したりせず、まずは真摯に受け止める姿勢が重要です。事実誤認に基づく批判であれば、客観的な事実を丁寧に説明します。誹謗中傷やスパムなど、悪質なコメントについては、削除や非表示、アカウントのブロックといった対応基準を設けておきます。
  • 個人情報を含む問い合わせ:コメント欄で個人情報のやり取りは絶対に行わず、DMでの連絡を促すなど、安全なコミュニケーションチャネルへ誘導します。

ルール8 炎上発生時のエスカレーションフローを準備する

どれだけ注意深く運用していても、予期せぬ形で炎上が発生する可能性はゼロではありません。重要なのは、パニックにならず、迅速かつ適切に対応することです。そのためには、有事の際に「誰が」「誰に」「何を」「どのように」報告・連絡・相談するのかを定めたエスカレーションフロー(緊急時対応計画)を事前に準備しておく必要があります。

【エスカレーションフローの構成要素】

  1. 炎上の定義と発見:どのような状態を「炎上」と判断するかの基準(例:1時間に50件以上の批判的コメント、ネガティブな投稿の拡散など)を設けます。発見者は、速やかに次のステップに進みます。
  2. 一次報告:発見者は、直属の上長やSNS運用責任者に、状況をスクリーンショット等で記録し、速やかに報告します。
  3. 対策本部の招集:報告を受けた責任者は、事態の深刻度を判断し、あらかじめ定められたメンバー(広報、法務、役員など)で対策本部を設置します。
  4. 状況分析と対応方針の決定:事実関係の確認、原因の究明、世論の動向分析を行い、謝罪の要否、投稿の削除・訂正の要否、公式見解の発表内容などを決定します。
  5. 対外的なコミュニケーション:決定した方針に基づき、公式ウェブサイトや当該SNSアカウントを通じて、誠意ある情報発信を行います。

このフローを事前に整備し、関係者間で共有しておくことで、初期対応の遅れによる被害拡大を防ぐことができます。

ルール9 従業員個人のSNS利用ガイドラインを設ける

企業の公式アカウントだけでなく、従業員が個人で利用するSNSアカウントも、企業のレピュテーションリスクに繋がり得ます。いわゆる「バイトテロ」に代表されるように、従業員の不適切な投稿が原因で企業が大きなダメージを受けるケースは後を絶ちません。従業員一人ひとりが「会社の看板を背負っている」という自覚を持つよう促すため、個人利用に関するガイドラインを設けることが重要です。

  • 基本原則の明示:就業規則の遵守、守秘義務の徹底、他者への敬意など、社会人としての基本原則を再確認させます。
  • 情報発信における注意点:会社の機密情報、顧客や取引先の非公開情報、同僚のプライベートな情報などを発信しないことを徹底します。会社の悪口や誹謗中傷も厳禁です。
  • 会社の情報に言及する場合:所属企業をプロフィールに記載している場合や、業務に関する内容を発信する際は、あくまで個人の見解であり、会社の公式見解ではないことを明記するよう推奨します。
  • 服務規程との関連付け:このガイドラインが就業規則の一部であり、違反した場合には懲戒処分の対象となる可能性があることを明確に伝えます。

ルール10 定期的な研修とルールの見直しを行う

SNSを取り巻く環境は、プラットフォームの仕様変更、新しい法律の施行、社会の価値観の変化など、常に動き続けています。一度作成したルールが、数年後には時代遅れになっていることも少なくありません。そのため、SNS運用ルールは一度作ったら終わりではなく、継続的に改善していく「生き物」であると捉えることが大切です。

  • 定期的な研修の実施:SNS運用担当者だけでなく、全従業員を対象としたSNSリスクに関する研修を、少なくとも年に1回は実施しましょう。最新の炎上事例や法改正の動向などを共有し、リテラシーの向上を図ります。
  • ルールの定期的な見直し:半年に一度、あるいは年に一度など、定期的にSNS運用ルールやガイドラインの内容が現状に即しているかを確認する機会を設けます。新たなリスクが生まれていないか、より効果的な運用方法はないかなどを議論し、必要に応じてルールをアップデートしていきます。

こうした継続的な取り組みが、変化の激しいSNSの世界で、企業のブランドと信頼を守り続けるための鍵となります。

今すぐ使えるSNS運用社内規定テンプレート

SNS運用社内規定の主要5要素 1. 総則 ■ 目的 リスク管理と信頼構築 ■ 適用範囲 役員・全従業員 外部委託業者を含む ■ ポイント 全社的なコンプライアンス 意識の統一を図る 2. 運用体制 ■ 役割分担の明確化 ・統括責任者(部長) ・運用責任者(課長) ・投稿担当者(実務) ■ 責任の所在 誰が最終決定権を持つか 各プロセスの責任者を規定 3. 投稿ルール ■ 承認フロー 作成→確認→承認→公開 法務確認が必要なケース ■ 基本姿勢 誠実・正確・一貫性 ■ コメント対応 返信基準と対応時間 4. 禁止事項 ■ NG行為リスト ・機密情報/個人情報漏洩 ・著作権/肖像権の侵害 ・誹謗中傷/差別的表現 ・法令違反(薬機法等) ・ステルスマーケティング ■ セルフチェック 投稿前の確認義務 5. 緊急時対応 ■ 緊急事態の定義 炎上、乗っ取り、誤爆 ■ 対応フロー 1. 第一発見者が即報告 2. 証拠保全(スクショ) 3. 対策本部の設置 4. 組織的な対外対応 ※自己判断での対応禁止

SNS運用のルール作りは、炎上などのリスクを回避し、企業の資産であるアカウントを安全に成長させるために不可欠です。しかし、ゼロから規定を作成するのは大変な作業です。そこで、本章では、貴社の状況に合わせてカスタマイズするだけで、すぐに利用できる社内規定のテンプレートをご提供します。このテンプレートを活用し、自社のSNS運用体制の基盤を構築しましょう。

社内規定テンプレートを利用する際の注意点

ここでご紹介するテンプレートは、あくまで一般的な雛形です。そのまま使用するのではなく、必ず自社の事業内容、企業文化、運用体制に合わせて内容を修正・追記してください。特に、取り扱う商材によっては、薬機法や景品表示法などの関連法規に関する記載をより詳細にする必要があります。また、規定が完成した後は、法務部門や顧問弁護士などの専門家にリーガルチェックを依頼することを強く推奨します。SNSを取り巻く環境や法律は変化が早いため、一度作成して終わりではなく、定期的な見直しと更新を行うことが重要です。

【コピペ可】SNS運用ガイドラインテンプレート

以下のテンプレートをコピーし、貴社の実情に合わせて内容を編集してご活用ください。

目的と適用範囲

第1条(目的)
本ガイドラインは、株式会社〇〇(以下、当社)が運営するソーシャルメディア(以下、SNS)公式アカウントの運用における基本方針及び遵守事項を定めるものです。本ガイドラインの目的は、SNS運用におけるコンプライアンス遵守とリスク管理を徹底し、当社のブランド価値向上、並びに顧客および社会との良好な関係を構築することにあります。

第2条(適用範囲)
本ガイドラインは、当社の役員、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト、その他当社の業務に携わるすべての者(以下、従業員)に適用されます。また、当社が運用を委託する外部業者にも、本ガイドラインの遵守を求めるものとします。

運用体制と責任の所在

第3条(運用体制)
公式アカウントの運用は、以下の体制で行うものとします。各担当者は自身の役割と責任を理解し、相互に連携して運用にあたってください。

役割 担当部署・役職 主な責務
統括責任者 広報部長 SNS運用に関する最終意思決定、緊急時対応の指揮
運用責任者 広報部 課長 運用戦略の策定、KPI管理、投稿コンテンツの最終承認、担当者の育成
投稿担当者 広報部 担当者 コンテンツの企画・作成、投稿作業、コメント・DMの一次対応、効果測定レポート作成
承認者 運用責任者、法務部 投稿内容のダブルチェック(事実確認、誤字脱字、レギュレーション遵守の確認)

投稿コンテンツに関するルール

第4条(投稿の基本姿勢)
・常に誠実で、品位のある言葉遣いを心がける。
・読者に誤解を与えない、正確で分かりやすい表現を用いる。
・当社のブランドイメージを損なわない、一貫性のあるトーン&マナーを維持する。

第5条(投稿の承認フロー)
すべての投稿は、公開前に必ず承認フローを経るものとします。
1. 投稿担当者がコンテンツ案(テキスト、画像、動画等)を作成する。
2. 運用責任者が内容をレビューし、修正指示または一次承認を行う。
3. キャンペーンや法規に関わる内容の場合は、法務部など関連部署の確認を得る。
4. 最終的な投稿内容を運用責任者が承認し、公開予約または投稿を行う。

第6条(コメント・DMへの対応)
・ユーザーからのコメントやDMには、原則として営業時間内に返信する。
・個別の質問やクレームに対しては、公開コメント欄ではなくDM等で個別に対応する。
・誹謗中傷やスパムなど、悪質なコメントに対しては、返信せず、社内ルールに基づき非表示または削除、報告等の対応を行う。

禁止事項リスト

第7条(禁止事項)
公式アカウントからの発信において、以下の行為を固く禁止します。これらの項目は、意図せず行ってしまう可能性もあるため、投稿前には必ずセルフチェックを行ってください。

  • 機密情報・個人情報の漏洩:当社の未公開情報、顧客情報、取引先情報、従業員の個人情報などの公開。
  • 他者の権利侵害:著作権、肖像権、商標権、プライバシー権などを侵害する画像、動画、文章の無断使用。
  • 誹謗中傷・差別的表現:他者(個人・団体)への誹謗中傷、名誉毀損、人種、信条、性別、社会的身分などに関する差別的な内容の発信。
  • 法令違反:薬機法、景品表示法(ステルスマーケティングを含む)、金融商品取引法など、関連法規に違反する、またはその恐れのある表現。
  • 不正確な情報の発信:事実確認が不十分な情報や、虚偽、誤解を招く内容の発信。
  • 公序良俗に反する内容:わいせつ、暴力的、残虐な内容など、社会通念上不適切とされる内容の発信。
  • 特定の思想・信条への言及:政治活動、宗教活動、またはそれらに関する意見表明。

緊急時の対応について

第8条(緊急時の定義)
本ガイドラインにおける緊急時とは、以下の事態が発生した場合を指します。
・投稿内容に起因する「炎上」の発生(批判的なコメントの殺到など)。
・アカウントの乗っ取り、なりすましアカウントの発見。
・誤った情報の拡散、情報漏洩の発生。

第9条(緊急時対応フロー)
緊急事態を発見した者は、速やかに以下のフローに従って行動してください。自己判断でコメント削除や反論を行うことは、事態をさらに悪化させる可能性があるため厳禁とします。
1. 第一発見者の報告:緊急事態を発見した従業員は、直ちに運用責任者へ電話等の確実な方法で報告する(発見日時、内容、影響範囲などを簡潔に伝える)。
2. 運用責任者の初期対応:報告を受けた運用責任者は、統括責任者へ報告すると同時に、事実確認(スクリーンショットの保全など)を行う。
3. 対策本部の設置:統括責任者の指示のもと、広報、法務、関連事業部などからなる対策本部を設置し、対応方針を協議・決定する。
4. 対外的な対応:決定した方針に基づき、必要に応じて謝罪文の掲載やプレスリリース等の対外的なコミュニケーションを実施する。すべての対外的な発信は、統括責任者の最終承認を得るものとする。

SNS運用ルールの策定や見直しは専門家へ相談

ここまでSNS運用ルールの重要性や具体的な項目について解説してきましたが、これらすべてを自社だけで完璧に策定し、運用していくのは決して簡単なことではありません。SNSのトレンドや関連法規は日々変化しており、社内リソースだけで最新情報を追いかけ、リスクを予見し続けるには限界があります。そこで有効な選択肢となるのが、SNSリスク対策の専門家への相談です。

自社だけでのルール作りには限界がある

SNS運用のルールを内製化しようとすると、多くの企業がいくつかの壁に直面します。担当者がどれだけ熱心であっても、組織として乗り越えるのが難しい課題が存在するのです。

主な課題としては、以下のような点が挙げられます。

  • 最新の炎上事例や法改正への追随の難しさ: SNSの世界では、昨日まで問題なかった表現が今日には炎上につながるケースが頻発します。また、薬機法や景品表示法などの関連法規も頻繁に改正されます。これらの変化を通常業務と並行して常にキャッチアップし、ルールに反映し続けるのは至難の業です。
  • 客観的なリスク評価の欠如: 長く組織にいると、社内では当たり前のことでも、社会一般の感覚とはズレが生じることがあります。こうした「内輪の論理」は、無自覚のうちにリスクの高い投稿を生み出す温床となり得ます。第三者の客観的な視点がないと、潜在的なリスクを見過ごしてしまう可能性が高まります。
  • リソースと専門知識の不足: 多くの企業では、SNS担当者は他の業務と兼任しています。そのため、ルール策定や見直し、従業員への研修、日々の投稿監視などに十分な時間を割けないのが実情です。また、炎上発生時の対応や法律に関する深い知識を持つ人材が社内にいないケースも少なくありません。
  • 緊急時の対応ノウハウの不在: 実際に炎上が発生した際、冷静かつ迅速に対応できる企業は多くありません。対応の遅れや不適切な謝罪は、さらなる炎上を招き、企業の信頼を根底から揺るがしかねません。平時から具体的なエスカレーションフローや対応手順を準備していても、実践的な経験がなければ机上の空論に終わってしまいます。

炎上対策のプロ「シエンプレ」に相談するメリット

こうした自社だけでは対応が難しい課題を解決し、企業のブランド価値をSNSリスクから守るために、炎上対策の専門家の知見を活用することが極めて重要です。「シエンプレ」のような専門企業は、数多くの企業のSNS運用を支援してきた実績とノウハウを蓄積しています。専門家に相談することで、具体的に以下のようなメリットが得られます。

サービス内容 専門家に相談するメリット
ルール策定・コンサルティング 豊富な実績と最新の事例に基づき、企業の業種や規模、文化に合わせた実効性の高いSNS運用ルールを策定できます。形骸化しない、現場で「使える」ルール作りを支援します。
SNS監視・モニタリング 24時間365日体制で自社に関する投稿を監視し、ネガティブな言及や炎上の兆候を早期に検知します。問題が大きくなる前に迅速な初期対応をとることが可能になり、ダメージを最小限に抑えられます。
緊急時対応サポート 万が一炎上が発生した際に、鎮火に向けた具体的な対応策(謝罪文の作成支援、投稿削除の判断、記者会見のサポートなど)を専門家の視点から助言してもらえます。パニックに陥ることなく、冷静かつ最適な対応を選択できます。
従業員向け研修 SNSリスクに関する最新事例や法的知識を交えた研修を実施することで、従業員一人ひとりの当事者意識とリテラシーを向上させます。これにより、社内規定の形骸化を防ぎ、組織全体のリスク管理体制を強化します。
法務・コンプライアンス支援 薬機法や景品表示法、著作権など、専門知識が求められる法律に関する投稿内容のリーガルチェックを依頼できます。意図せず法律違反を犯してしまうリスクを未然に防ぎ、コンプライアンスを遵守した健全なアカウント運用が実現します。

SNS運用ルールの策定や見直しは、一度作って終わりではありません。社会の変化に合わせて継続的にアップデートしていく必要があります。専門家の力を借りることは、単なる外注ではなく、企業のブランドと未来を守るための戦略的な投資と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、SNS運用におけるルール策定の重要性から、具体的な失敗事例、そして遵守すべき10の基本ルールについて解説しました。SNSは企業の強力な武器となる一方、不用意な投稿が炎上を招き、築き上げてきた信頼を瞬時に失墜させるリスクもはらんでいます。

このリスクを回避し、SNSを安全かつ効果的に活用するためには、明確な運用ルールの策定が結論として不可欠です。運用目的の明確化、投稿前の承認フロー、炎上時の対応策などを網羅したルールを設けることで、担当者個人の判断に依存しない安定した運用が可能になります。

まずは本記事で紹介した社内規定テンプレートを参考に、自社の状況に合わせたルール作りの第一歩を踏み出しましょう。もし策定や見直しに不安があれば、専門家の知見を借りることも有効な手段です。明確なルールという土台の上で戦略的なSNS運用を行い、企業の成長へと繋げてください。

※記事内容は実際の内容と異なる場合があります。必ず事前にご確認をお願いします

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詳細情報

〒107-0052 東京都港区赤坂4丁目2−19 8F

URL:https://www.siemple.co.jp/

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